用語説明
※順不同
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イメージインテンシファイア (Image Intensifier)
イメージインテンシファイア(イメージ管)は暗視装置に内蔵している中核部品です。
同じモデルの暗視装置においてもイメージインテンシファイアグレードの違いにより暗視性能が異なります。
光がイメージインテンシファイア内部のフォトカソード(光電面)に当たると光電子が放出されます。
放出された光電子をマイクロチャンネルプレートなどで増倍させて蛍光面に電子を衝突させることで微弱な光をコントラストの高い明るい像へと増幅しています。
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マイクロチャンネルプレート (Microchannel Plate MCP)
マイクロチャンネルプレートは第二世代以降のイメージインテンシファイアに搭載されています。
マイクロチャンネルプレートの構造は主にガラス製の微小な管状のチャンネルの光電子増倍管を蜂の巣状に束ねた構造になっており入射した電子がプレート内の各チャンネルの内壁に当たることで発生するアバランシェ効果により電子が増幅されています。
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解像度 (lp/mm)
解像度はイメージインテンシファイアを通して映し出された映像の分解能を表しています。
1ミリメートルあたりにどれくらいの縞模様(白黒一組で1lp)が認識できるかを表しています。
この数値が高いほどより分解能が高いことを表しています。
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SN比(信号雑音比)
SN比は信号に対してのノイズ比を表しています。イメージインテンシファイアの場合は一般的に目に到達する信号に対してのノイズ量比を表します。
この数値が高いほど信号値が少ない低照度下でも高コントラストで安定した像を認識できると言えます。
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光電面感度, 陰極感度(µA/lm)
一般的に色温度2856Kの照明を用いたときに1ルーメンあたりに得られる出力電流値を表しています。
この数値はイメージインテンシファイア内部のフォトカソードの測定値となりますが感度の目安となります。
各メーカーにより測定条件や環境が若干異なる場合があります。
Photonis社製イメージインテンシファイアのデータシートには該当の項目がないためN/Aとしています。
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EBI
EBI(Equivalent Background Illumination)は入射光がない状態での蛍光面の明るさを表した数値です。
検出できる最低照度の目安となり値が低いほど高性能であると言えます。
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FOM(Figure of Merit)
FOMはイメージインテンシファイアの性能指数となり、解像度とSN比を掛け合わせた数値です。
{FOM値=解像度(lp/mm)×SN比}
一般的にこの数値が高いほど高い暗視性能であると言えます。
異なる世代(異なる材質のフォトカソード)の暗視装置を比べる場合には必ずしもFOM値が高い方が高性能であるとは言い切れません。
これは各世代によって得意とする光の波長特性が異なるため、実際の野外での暗視性能が低い場合でも試験環境の照明特性がより得意な世代の暗視装置がより高いFOM値が出てしまうためです。
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ハロー(Halo)
暗視装置でのハロー現象は明るい光源を見た際に光源の周りに光の輪が発生する現象です。
この現象はイメージインテンシファイア内部のMCP(マイクロチャンネルプレート)に起因します。
都市部など光源が多い場所ではハローが大きいと光源周辺の物体の視認性が大きく下がるため、
ハローがより小さく抑えられているほど市街地などでの認識力は上がります。
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オートゲート(Autogated)
オートゲート機能はイメージインテンシファイア内部(光電面-MCP)の電源供給を高速にゲート動作することで最大電圧で得られる解像度を維持しながらデューティ比を抑えられるため、高照度下での解像度の低下を防ぎながらイメージインテンシファイアの保護、長寿命化にも役立っています。
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ABC(Automatic Brightness Control)
ABC(オートマチックブライトネスコントロール)はMCPの電圧を自動制御することで過度な出力を抑えてイメージインテンシファイアの出力輝度を最適な制限範囲に維持する機能です。
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BSP(Bright Source Protection)
BSP(ブライトソースプロテクション)はABCと異なりフォトカソード(光電面)の電圧を制御することでイメージインテンシファイアへの負担を減らす機能です。
動作時の高電圧を維持できるオートゲート機能と異なりフォトカソード電圧を下げるため高照度下では出力画質が低下します。
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Image alignment
Image alignmentはイメージ管モジュール内での光軸のズレを示す値です。
イメージアライメント数値が小さいほどイメージ管とレンズ光軸とのズレが少なく高精度となります。
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WP 白色蛍光(White Phosphor)
イメージインテンシファイアは蛍光面の蛍光体スクリーンによって光を出力するため蛍光体により色味が変わります。
一般的に現代の多くの暗視装置はP43蛍光体を使用しており黄緑色ですがWhite PhosphorはP45蛍光体により白黒に近い色味に発光します。
White Phosphorは黄緑色イメージに比べて同等以上のコントラストを維持しながらも全体的な物体認識力などが向上すると言われています。米国をはじめとする各国の軍などでも最新装備として配備が進んでいる技術です。
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サーマル(サーマルビジョン)
サーマルビジョンはマイクロボロメーターなどを利用して中遠赤外線を可視化する装置です。
民間用途ではサーモグラフィー装置としても知られています。サーマルビジョンはイメージインテンシファイアを使用した暗視装置とは違い物体から直接放射される波長の長い赤外線を利用しているので環境の明るさに左右されず昼夜問わず使用することができます。霧や煙幕などがあっても目標を視認することが可能です。
また、物体の温度変化を可視化できるので周囲より高温な生物や車両などを発見しやすいなどのメリットがあります。
主なイメージインテンシファイア
※性能値は予告なく変更される場合がございます。
【Harder Gen3 FOM2100】
主な最小値(min)
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解像度:70 lp/mm
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SN比:30
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光電面感度:1800 µA/lm
Harder Gen3 FOM2100 はHARDER DIGITAL社製のイメージインテンシファイアです。
Harder社のFOM2100モデルは標準値で2200uA/lm前後の光電面感度があり米国のOmni7-8と同等以上の性能を持つ第3世代イメージインテンシファイアです。より暗い環境において高いパフォーマンスを発揮します。
第3世代イメージインテンシファイアは近赤外域の波長感度に優れており各国の政府機関や法執行機関で採用されています。
【Harder Gen3 Alpha FOM1800】
主な最小値(min)
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FOM:1800
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解像度:64 lp/mm
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SN比:25
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光電面感度:1800 µA/lm
Harder Gen3 Alpha FOM1800 はHARDER DIGITAL社製のイメージインテンシファイアです。
Harder社のFOM2100モデルに比べて低コストで第3世代の高いパフォーマンス性能をよりお求めやすい価格でご使用いただけます。プロフェッショナル用途はもちろんですが民間向けにもおすすめの製品です。
【Photonis 4G】
主な最小値(min)
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解像度:64 lp/mm
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SN比:27 or 28
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光電面感度:N/A
Photonis 4G INTENSはPhotonis社が特殊部隊向けに開発した最新のイメージインテンシファイアです。
400nmの紫外線から1000nmを超える近赤外線までの第3世代を超える広い波長域に感度があります。
また、光源の周りに発生するハロー現象もとても小さく抑えられております。
光源の多い都市部はもちろん光が殆ど届かない砂漠や密林などでも同社の従来製品を大きく上回る
優れた暗視性能を実現しています。
【Photonis Echo】
主な最小値(min)
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FOM:1600
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解像度:57 lp/mm
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SN比:23
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光電面感度:N/A
EchoはPhotonis社の最新イメージインテンシファイアです。一般的なイメージインテンシファイアよりも広い波長帯域に感度があります。
Photonis社最新イメージインテンシファイアの性能をよりお求めやすい価格でご体感いただけます。
【Photonis Echo+】
主な最小値(min)
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FOM:2000
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解像度:57 lp/mm
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SN比:25
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光電面感度:N/A
Echo+はPhotonis社の最新イメージインテンシファイアです。一般的なイメージインテンシファイアよりも広い波長帯域に感度があります。Echo+はEchoよりもFOM値の高いモデルになります。
Photonis社最新イメージインテンシファイアの性能をよりお求めやすい価格でご体感いただけます。
【Photonis Gen2+ Commercial】
主な最小値(min)
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解像度:30 lp/mm
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SN比:12
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光電面感度:270 µA/lm
Photonis Gen2+ Commercialチューブは、厳しい軍用仕様に必要な基準を満たしていないため民生用途として出荷されているイメージインテンシファイアです。
ブラックスポットなどは他のグレードのイメージインテンシファイアと比べると多く性能値なども低く設定されていますが、性能に比べて価格が安価ですので高性能暗視装置の入門モデルとしては非常におすすめです。